彼の手が腰からなぞるように他の場所へいこうとした時
今度は廊下の電気がつき、慌てて毛布に潜り込んだ。


スリッパを履いた足音で起きたのは母だとわかった。



「…やばいかも」


私がそう言うと彼は私に軽いキスをした。


「また明日ね」


そして音をたてないように窓を開け、踊り場から勢いよく飛び降りた。


怪我が治ったばかりなのに…。


心配する私を余所に、雨が止んで明るくなりかけた空の下で彼は笑顔でピースした。


そんな彼に手を振り私は窓をそっと閉めた。


彼のいなくなったベッドで一人、明日を楽しみに眠りにつく。


新しい居場所ができた私は安心して深い眠りに吸い込まれていった。