ほんの少し動こうとしただけなのに足が軽くぶつかる。


彼は私を見つめた後、腰に手を回してぐっと自分の方に抱き寄せ顔を近づけキスをしようとした。



突然の事に私は顔を逸らす。


「…嫌?」


視線を彼に戻して一瞬の沈黙を破る。


「…嫌…じゃない…」



重ねた唇に愛を感じた。

ずっと欲しかった愛は
ここにあったんだと
すべての悲しみが癒えていくようだった。


何度も、何度もキスをした。


彼に包まれ、彼を包んで。


頭が真っ白になっていく。

何も考えられない程に。





それが

私のファーストキスだった。