「そっか。ごめんね、いっぱい待たせて」


彼は私の髪にぽんぽんと軽く手を乗せた。


それからしばらく続いた沈黙は
彼の言葉によって破られる。



「付き合ってくれない?」



込み上げてくる喜びは
自分がその言葉をずっと待っていた事を思わせた。

ただ黙って何も確かめずにすんなり頷いた。


二股じゃないよね?


私だけだよね?


またすぐに別れるなんて言わないよね?



確かめるべき事はいくつもあったはずなのに。


傷つくかもしれないとわかっていても
好きだという気持ちが強すぎて
手の届く場所にある幸せしか考えられなかったこの時の私は、まだ幼かった。