「あれ?お母さんは?」


『お母さんね、今日から入院する事になったのよ』


「入院!?なんで!?」


『お母さんから何も聞いてない?』


「え?何の事?」


『お母さん、癌なんだよ』


頭が真っ白になる。この時がまさにそうだった。


キッチンで突っ立ったまま何も聞こえなくなった。



『…さえこちゃん?』


何回か私を呼んだであろう母の妹に返事をした。



『先週?先々週だったかな。結果が出て入院したくないって言ってたけどなんか何日もご飯食べてなかったみたいで仕事先で倒れたらしくてね。精神的にももうやられてるから今日私が手続きしてきたのよ』


「何の癌なの?」


母は祖母と全く同じ癌だった。


腫瘍ができていた場所はさすがに違ったが。



「お母さん死ぬの?」



『いや、そんな事は言われてないから大丈夫だとは思うけど…』



母の妹はそれ以上続けなかった。