ADULT CHILDREN

祖母に聞こえていると思うと嬉しかった。


毎日祖母の足と手をマッサージしてむくみを取り、乾燥した肌にクリームを塗った。


治って目を開けた時に汚い姿だったら嫌だろうと思って。


毎日それをやめなかった。

爪を切って、窓を開けて空気を入れ替えて。



祖母が元気になってくれるとまだ信じ続けていた。





しかし、ある日の早朝母の妹から電話が入る。

その日は母が早く仕事に出ていて母の妹が早くに交代で病院に行っていたのだ。



「もういつかわからないから今すぐ準備しておいで」



突然の事だった。


前日までまだもつかもしれないと医者に言われていたのに。


私はまだ眠っていた浩人を着替えさせると化粧もせずタクシーに乗り込んだ。