ADULT CHILDREN

病院には毎日のように親戚が来ていた。

母は夜に病院に泊まり、昼間は私と叔母に代わり家に帰る。


母の家には喪服が用意されてあり、私はそれを押入れにしまった。


現実を受け入れたくはなかったからだ。



毎日何も言わない祖母に話しかけた。



もう祖母は瞼さえ上げる事もなかったが。



「聞こえているんですよ」



看護師さんにそう言われたから。



「今日は浩人が沢山ごはんを食べたんだよ」


「あの時の事覚えてる?」


「引っ越したけどすごく田舎なんだよ。でも空気がいいから子育てにはいいかもね」



大きな声で祖母の耳元で、そう話しかけていた。


きっと聞こえてる。


そう信じて。