ADULT CHILDREN

「ばあちゃん、早く病気治ったらいいね。早く退院して、一緒に北海道行こう」



話しながら目頭が熱くなった。



祖母は首をゆっくり縦に振る。




「次に帰ってくるときはもっと元気な姿見せてね?」



わかっている。
もう祖母の病気が治らない事も、もう、先が短い事も。



「が・ん・ば・る」



掠れた声にならない声で言った祖母の言葉。
それが祖母の最後の言葉だと予想する事はできなかった。



「それじゃ。またね」



祖母の手を取り握りしめた。


どうか、どうか元気なって欲しいと願いを込めながら。


離れていてもいつも応援していると想いを込めながら。



祖母はそれに応えるように、強く私の手を握り返す。


どんな想いを込めていたんだろう。


病室を出てドアを閉め歩き出した私の頬には涙が伝っていた。