そんな私の背中を押してくれたのは祖母だった。



「さえちゃんは自分の家庭を大切にしなさい」



きっと本当にそうは思っていても口にする事は辛かっただろう。



最後の最後まで、私は祖母に甘えっぱなしだった。



佐藤さんはそんな祖母に携帯を買ってくれた。


いつでも私と浩人の声が聞こえるようにと、佐藤さんの名義で。


祖母は何度もお礼を言っていた。



引越しの日まで、これから会えなくなる分溜めるように毎日祖母のいる病院へと足を運んだ。