行かないで欲しいと毎日うちに来る祖母に佐藤さんは一緒に住まないかと言った。


それは、母の人柄含め、私が祖母をどれだけ慕っていたかも知り、私に対する祖母の愛を充分に見ていたからだった。



「あまり裕福な生活はできませんが、一緒に行きませんか?」



その話をした時、祖母はとても嬉しそうだった。



「ありがとう。そうできたらいいけど、娘がね…それに兄弟がこっちにいるから」



祖母の地元は母の家から30分で着く場所。


祖母は兄弟と仲が良かったから離れたくはなかったんだろう。


それに私達と住むと言ったら母が何と言うか。



「気持ちだけ。感謝します」


佐藤さんに深く頭を下げ、祖母はそれを断った。