実家の駐車場に着くと、母は運転席に座り直して窓を開ける。
「離婚届を取ってくるからあの人がどこにも行かないように見張ってて」
母の車が出ると私は父の元にかけよった。
「ごめんさえこ」
無精髭を生やし、窶れたような疲れ果てたその顔を見て泣いた。
「さえこちゃんずっとお父さんの事心配していたんですよ」
佐藤さんは父を気遣いながらも私の肩を支えた。
「ごめんなさえこ。ごめんな」
父の震える声を聞くと堪えようにも涙が止まらなかった。
家に入って椅子に座った私達に会話は全くなかった。
30分もしないうちに母と祖母が帰ってきて何も言わず離婚届を父の前で書き始めた。
そして書き終えるとそれを差し出し、父も無言でそこにサインする。
「あんた証人になってよ」
母にそう言われたが、絶対に嫌だと断った。
子供にそんなものを書けと言う神経が私にはわからなかった。
「離婚届を取ってくるからあの人がどこにも行かないように見張ってて」
母の車が出ると私は父の元にかけよった。
「ごめんさえこ」
無精髭を生やし、窶れたような疲れ果てたその顔を見て泣いた。
「さえこちゃんずっとお父さんの事心配していたんですよ」
佐藤さんは父を気遣いながらも私の肩を支えた。
「ごめんなさえこ。ごめんな」
父の震える声を聞くと堪えようにも涙が止まらなかった。
家に入って椅子に座った私達に会話は全くなかった。
30分もしないうちに母と祖母が帰ってきて何も言わず離婚届を父の前で書き始めた。
そして書き終えるとそれを差し出し、父も無言でそこにサインする。
「あんた証人になってよ」
母にそう言われたが、絶対に嫌だと断った。
子供にそんなものを書けと言う神経が私にはわからなかった。


