ADULT CHILDREN

「あ、もしもしどうも」


父はさっきまでとは打って変わって明るい声で話す。



「いや急なんですけど、今日うちの娘がどうしてもお金が必要だから車を売りたいらしくて…」



父は他人の前でも私のせいにする。


もうそんな事に苛立つ余裕はなかった。



「あ、じゃあ今から伺います~失礼します~…」



結局売らなければならない状況になり私は車の荷物を下ろしてと父にキーを渡した。


父はキーを受けとり車の荷物を次々に家に運ぶ。


赤ちゃんのために買ったチャイルドシートも、おもちゃも。


すべて、玄関に乱雑に置かれていた。