結局夜中泣いて、一睡もできずに朝を迎えた。
佐藤さんは銀行に行きお金を全部おろしてきてくれた。
父に電話すると「今から行く」と15分程で家に訪れた。
「おはよう。ごめんね」
目も合わせず、当然のように靴を脱いでリビングに向かう。
「お母さん達にその体の事なんて言ったの?」
「灯油買ってる時にかかったって言ったよ」
「そう」
ソファーに座って300万が入った封筒を差し出して言った。
「300万入ってる」
そう言うと父は封筒の中を見た後に視線を私に向け直す。
「300万?」
「うん」
「それじゃ足りないじゃん」
まるで私がお金を用意する事が義務であるかのような言い草に、正直かちんときた。
「それだけしか用意できないもん」
「…お父さんが死んでもいいのか…」


