「わかった。じゃあお父さんにお金渡そう」


この時、佐藤さんと私の貯金は合わせて300万くらいだった。

大半は佐藤さんのものだった。


でも300万じゃ足りない。



「全額用意は難しいね。…んー…あとは車売るしかないかな」



貯金は全部持っていかれて車まで売るだなんて本当にそこまですべきなのか、一瞬迷ったが、父の命と引き換えならそれも仕方ないとすぐに思った。




とりあえず300万だけしか用意できないと言う事にした。

それでも足りないと言うなら最終的には車をと。


この時まだ、産まれてくる子供の物はすべて揃っておらず、貯金から買うつもりも不可能となってしまった。



佐藤さんは文句のひとつも言わず、私の体を気遣い、家族なんだから謝らなくていいと何度も謝る私を慰めた。