時を共に過ごす中で、佐藤さんが自分以外の人間に無愛想に接する事は当たり前だった。私はそれにどこか安心感を覚えていたのかもしれない。


夏に向けてのアルバイトの募集があり、高校生３年生の女の子が３人入ってきた。


指導するのは店長か、社員の佐藤さん。


その女の子の事は佐藤さんが教えることになった。


私はそれをもちろん知っていて、聞いた時も何とも思っていなかった。


けれど、その子達が入って３日目の事だった。


ある光景を目にした瞬間、まるで生気を失ってしまったかのように身体の力が失せていった。



佐藤さんは私以外の人の前では笑わなかった。

そんなところを見たことは一度だってなかった。


だから余計にそこに裏切りに似た感情を持ってしまったのかもしれない。


高校生の子達の前で自分だけにしか見せない笑顔を向けるその姿を見ていられなかった。


居場所をまた失うかもしれない。

私の事が好きだなんて嘘なのかもしれない。


大きな不安と怒りで胸が押し潰され、仕事もろくに手につかなかった。