両親の事を話して以来、二人の距離は少し近くなっていた。


一緒に住むようにもなったし、佐藤さんは休みの日以外殆ど仕事でいなかったけど、毎朝私に負担をかけないようにと部屋を掃除して仕事に行っていた。



私もマンションからバイトに通い、休日は友人と会ったりと、親と会っていない事以外には変わりなかった。


佐藤さんが仕事が終わり家に帰ってくると色んな話をした。


佐藤さんの小さな頃の話や、私が祖母の事が大好きという話。


どうすればクロを触れるようになるか。


毎夜耐えず色んな話題を持ち出しては日が顔を覗かせるまで語る事も少なくなかった。


ダブルベッドで一緒に眠っていたけど、佐藤さんはキスどころか私に指一本触れなかったが、毎日のように私をどれだけ好きか力説し、将来子供は何人欲しいんだとか、俺に似たらスポーツ万能になるとか。


私に似た女の子が産まれたら心配で仕事がろくにできなくなるから子供は男の子がいいだなんて。



まるで結婚する事がもう確定しているかのような話もしてきたり。


でもそれを苦痛には感じなかった。



むしろ、どこかその時間を待ち遠しく思っている自分がいた。