これで嫌がらせからも解放されるなんて考えは甘かった。

二人は全然懲りてなんかいなかった。
無視も、聞こえるように言うわざとらしい嫌味もなくならなかった。


だけど、ひとつだけ変わったことがあった。


それは、みんなが私ではなく鈴木と吉田を避けるようになったという事。


おかげでこれまで教えてもらえなかった仕事も教えてもらえるようになり、普通にみんなと話せるようになったのだった。



それから居心地が悪くなったのか、1ヶ月も経たないうちに二人は自ら辞めていった。


最後の最後まで私を悪者にしたかったらしい。


「さえこが佐藤さんの文句を言っていた」


佐藤さんにそんな話を持ちかけたのは吉田だった。



その事を佐藤さんに問いただされた私は吉田と話したままを伝えた。すると吉田は佐藤さんに「無愛想で悪かったな」と言われ泣き出し、辞め際に私に言ってきた。


「全部さえこのせいだから」



呆れて笑えてきそうだった。
私が一体何をしたって言うの?


「今までありがとう。お疲れ様」



そんな言葉の変わりに作り慣れた笑顔を見せた。