その夜、
母は自分の親戚や仲の良い友達に電話をかけ続けた。


父はずっと俯いたままで、母は電話相手にここぞとばかりに父の文句を言った。


しばらくして母に堂々と文句を言われ、居心地を悪くした父は寝室へと姿を消した。


私達姉弟は自分達の部屋で事が過ぎるのを待つ。


静まった家には母の声だけが響いていた。



確かに悪いのは父だ。

借金はすべてギャンブルに使ったと言っていた。


でも私は知っていた。

若い女の子を連れて食事に行っていた事も、海外に頻繁に遊びに行っていた事も。


年末の夜にもなれば
毎日深夜12時過ぎに帰ってきていた。

いくら付き合いでも毎日夕方に仕事を終えて夜も夜中まで飲み会だなんておかしい。


気づいていたのか、それとも本当に知らなかったのか。
母も母で鈍感すぎると思った。


この時、母が親戚中に父の悪口を父の目の前で散々言う事イコール
離婚する事を現していると思っていた。