できる事なら顔も見たくなかった。でもある日、主任に頼まれて淳と二人でお店で使う物の買出しに行かなければいけなくなってしまった。


断るわけにも行かず、私は久しぶりに淳の車に乗った。志田ちゃんが乗っていた助手席に座る。


買い物先についておりようとした時淳に腕を掴まれ、ため息をついて足を留めた。


「何?」


「さえこ本当にごめん」


「いや、もういいから」


「ごめん。俺…」


淳は泣いていた。
男の人ってこんなに泣くんだと驚く程だった。


「泣くくらいなら浮気なんてしなければいいでしょ」


「俺さえこがいないと普通に生活できないんだ…ご飯とか…作れないし…夜さえこに電話しないと眠れないし…」


「だから?」


「もう俺の事嫌い?」


一瞬、なんと答えるか迷った。



「もう無理?…俺頑張るから…信じてもらえるように…頑張るから」



泣いている淳を見て私の心は確実に揺らいでいた。


絶対に許さないと決めていたはずなのに。


なのに



「次浮気したらもう絶対許さないから」


許してしまった。

信じたかったんだ。
これが最後の恋だと諦めたくなかったんだ。


リスクが高いとわかっていても
心に嘘をつくよりは、傷ついた方がマシだなんて
思ってた。

弱虫の癖に

希望を失うよりもマシだなんて思っていた。