12月に入ってすぐ、休みの日。淳が大学に行っている間、私は自宅の掃除をしていた。


あまり家にいないとはいえ、毎月3万円を入れていた。

そして掃除や家事をする事で母は私に何も言えなくなるからだ。


バイトを始めて苦手だった掃除も好きになり、そんなに苦痛にも感じなくなっていた。


掃除が終わり、一休みして部屋で休んでいると家のチャイムが鳴る。


「あら、さえちゃん」


ドアを開けた先にいたのは祖母だった。


「ばあちゃん!来るって言ってくれたらバス停まで迎えに行ったのに」


祖母が持っていた大きな荷物を手から取り、二人で中に入る。


「さえちゃん帰ってきてたって知らなかったから…。そう。帰ってきたんだね。よかったよかった」


「ごめんね。心配かけて」


「いいの。もう帰ってきたんだから。それだけでいいの」


祖母が根掘り葉掘り聞いてくる事はなかった。
何があったのかも、どこで何をしていたのかも。


何も聞かず、ただずっと私の顔を見て微笑んでいた。