淳と別れ、車が去って行った瞬間に足に圧力がかかる。
踏み締めるように階段を上り深呼吸してチャイムを押すと、仕事を抜け出してきていたのか父が玄関のドアを開けてくれた。


「おかえり」


「…ただいま」



リビングに行くとそこには久しく見ていなかった母の姿があった。


洗濯物を取り込んでいる母は、私の方を見向きもしない。


父が私に顎を使い「謝っておけ」と訴えている事に気づき、私は母に恐る恐る近づいた。


「お母さんごめんなさい…」


母の背中に向かって言うと母は一瞬手の動きを止めたように見えた。


「本当に思ってるんだか…」


鼻で笑うと、またすぐに作業を再開する。その態度と言い方で母が心配などしていなかった事も、変わっていない事もわかった。



母に謝った後、直ぐさま自分の部屋に戻った。

久しぶりに戻った私の部屋は綺麗に整理されていた。


閉まっていたカーテンを開け、窓を開けてベッドに座るとそこには見慣れない物が。