俯かせていた顔を上げ、日に焼けた父の顔を見上げた。


「わからないの?」



「わからないよ」



私が鼻で笑った意味がわからないのか、父は眉間のシワを濃くする。



「じゃあ聞くけどお父さんやお母さんは私の何が不満なわけ?」



「おまえが普通にしていてくれたら不満なんて何もないよ。友達と夜中遊んだり、こんな風に家出て行ったり、死にたいと言ってみたり…」




「…普通?普通って何!?
私普通よりいい子になるように頑張ってきた!
頑張っても何も変わらないじゃない!!
死にたいって思わせてるのは誰!?
普通普通って、じゃぁお母さんもお父さんも普通なの!?子供殺そうとする親が普通なの!?」



大きな声を出すつもりはなかった。
父の前で、涙を流すつもりもなかった。