「よし!じゃぁ行こうか!?」



突然淳が気合を入れるようにハンドルに両手をガッと乗せ、大きな声を出す。


「え?どこに?」


「いいから」


そう言って車を出した淳は到着するまで面白い話があるんだとお腹の底が痛くなる程笑える話を幾つかしてくれた。



「着いたよ」


目の前にある大きな門の下から上へと視線を広げる。


「ここ…?」


「行くとこないんでしょ?」


「そうだけど」


「俺ん家に居たらいいよ」



淳はボタンを押しで門を開ける。



首を動かさなければ視界に入りきれない程の大きな家に唖然としていた。



どうして学生で、まだ21歳なのにベンツに乗れるのか、その家を見て納得した。



間違いなく実家であるその家の屋内に入ろうとしている私は戸惑っていた。


「お母さんとかお父さんとかいるんじゃないの?」


「いるよ」


「大丈夫なの?」


「大丈夫大丈夫」


戸惑いながらも、私は淳の後ろを着いていく他なかった。