「本当に彼女いないの?」


淳の横顔を見ていると自然と聞いてしまった。



「本当にいないよ。どうして?」


見るからに女の子が好きそうな顔だった。
童顔でもなく、厳つくもなく、男らしい雰囲気はあるものの鼻につかない。

芸能人と言ってもおかしくない程の容姿があるのに、彼女がいない事など有り得るのだろうかと疑って仕方なかった。


「でもモテるでしょ?」


「いやいや全然」


「学校とかでキャーキャー言われるタイプだよ」


「うちの大学男しかいないよ」



「え?そうなの?」


「うん」


こういう格好の良い人は遊び人なんだと勝手な定義で淳を見ていた。


だから、例えば自分が好きだと伝えたなら
それこそ相手にされないか、良くて遊ばれておしまいかとくだらない妄想をしていた。




「ねぇ思ってたんだけどバッグ、すごい大きくない?」


親指で後部座席に置かれたバッグを指し、私にちらっと視線を向けた。


「あ…うん…」


今、こんな中で
あまり親の話はしたくないと言葉を濁らせた。