「本当の子供じゃないのよ」



そう言われれば素直に受けとめずに聞き流した。

「はいはい」

それでも母はしつこく言ってきていたけど、私はもう、相手にしなくなっていた。


学校はいじめとは無縁で、楽しく友人も多くいた。

私は、家で今以上色々言われない為に
テストで平均以上の点をとり、
運動会のリレーで選手に選ばれ、1位になった。

ついでに学級委員、生徒会役員にまでも。


体調が余程悪い日以外は学校を休む事はなく、嫌いな食べ物も何も言わず食べるようになった。


1番下の弟の面倒もよく見て、弟の友達の面倒もよく見ていた。

おかげで近所では有名な優しいお姉ちゃんになり、弟の友達は見る見るうちに増えていった。


近所のお母さん達からも評判がよかった。


「いい子ね」
「しっかりしてるわね」


周囲のそんな言葉に父は鼻高々だった。


何も言われないように精一杯頑張っていい子になった。

「自慢の子」になれるように頑張った。


母の為に。
父の為に。

小学6年生にして
私は自分でも気づかぬ間に
仮面を被っていた。