「そういうつもりは少しもなかったの?」


肩を持って体を離した俊は、そんなつもりはなかったと私と距離を置くように天井に体を向け額に手を当てた。



「好きな人いるの?」



「いたけどふられたよ。今日」



偶然にしてはタイミングが良すぎると鼻で笑った。



「冗談でしょ?」



「ほんとだって」


俊はテーブルから携帯を取り、メールのページを開くと女の名前が書かれたメールの本文を開いて見せてきた。



そこには確かに今日の日付で(好きな人がいます)と書かれたあった。



「ほんとだ…じゃあもしかして、やけくそでナンパしたとか?」



携帯を閉じながら俊は投げやりに頷いた。