「床で寝るの?」


「え?あ、いや」


「隣空けるから」


私はベッドの端に寄り、壁側に顔を向けた。


「え、でも…」


「寝ないの?」


「寝ます…」


テレビを消し、布団に入ったかと思うとすぐに体を起こし、四つん這いで足元にあるコンポに向かう。


「音楽つけていい?」


「いいよ」


聞いた事のない洋楽のR&Bで、英語だから何を歌っているのかなんて全然わからなかった。


カーテンを閉めきった暗い部屋をコンポのライトが微かに照らす。


ぼうっと壁を見つめている中で流れる悲しげなメロディーが消したいを引き寄せる。


気づいた時には涙が零れていた。


隣にいる俊にばれてはいけないと指先で涙を拭ったが、その涙を吸い込もうと漏らした息で俊に気づかれてしまった。


「どうした?…泣いてんの!?」


布団を剥ぎ、立ち上がろうとする俊に振り返らないまま声を出した。