「ごめんこれしかないわ。」


缶ビールを差し出す俊に伸ばした手の平を見せる。


「あー、私飲めないからいいよ」


「あ、そう。じゃぁ俺自販機で何か買ってくるわ。何がいい?」


「いいよ、喉渇いてないから大丈夫。ありがとう」


持っていた缶ビールをあけ、財布や鍵をテーブルに置いた俊が隣に座る。


「なんか見る?」


ベッドに置かれていたリモコンを手に取りテレビをつける。


「何もやってないね」


時間が時間なだけに通販番組と天気予報以外のチャンネルは、耳に響く一定の音とカラーバーが映っているだけだ。



「ねぇ、私眠ってもいい?」


「いいよ」


立ち上がってオレンジ色の電気を消し、俊はベッドに私ひとりを残し床に座った。


「寝ないの?」


「いや寝るけど…」


その声で、俊が戸惑っている事はすぐにわかった。