結局ソファーで眠ってしまっていた。
寝返りをうちテーブルに目をやると、いつものように手紙が置いてある。
(起きたら紗枝に電話するように言って。昨日はごめんね。いってきます。)
その日は一万円が置いてあった。
手紙をくしゃっと丸めてごみ箱に投げ捨てる。
私が起きた時には紗枝はまだ眠っていて、数時間が経った昼過ぎになってからリビングのドアが開いた。
「紗枝、大丈夫?」
「うん、ごめんねさえこ」
ごめんねの意味を探していた。
「いいよ。それより大丈夫?でも大分腫れがひいたね」
「うん、まだ痛いけど」
二人でいつものようにソファーに座った。
「あ、そういえばけんちゃんが電話してって」
「はいはい了解」
けんちゃんとの関係を紗枝に伝えていなかった私は焦っていた。
今ここで伝えなければ
この幸せはここまでだと
そのタイミングを見計らっていた。


