翌朝、目が覚めた時にはもうけんちゃんはいなかった。


下着を着けて寝ぼけたままリビングに行くといつも通り。


(風邪ひかないようにね。いってきます。)


その手紙を読んでそのままシャワーを浴びに浴室へ向かった。



いつもと変わらず家の事をしている中で、気分だけが違った。


胸に支えていたものが消えて、清々しかった。


だけど
そうなった事によって新たな悩みが生まれる。



紗枝に何て言おう――――――――



別に紗枝はけんちゃんの事が好きなわけではない。

けど、けんちゃんは3回も紗枝に告白していると聞いていたから
例え気持ちはなくても、やはり少しは気にするのではないだろうかと気にかかっていた。



とりあえずは、様子を伺ってタイミング次第で言おうと
けんちゃんと付き合っている事を自分から話に持ち出す事はしなかった。