そう言ったのにけんちゃんはまた私を抱きしめた。


「…好きになったら駄目なの?」


耳元でいつもの優しい声がする。


「…だって紗枝の事好き…って…」


けんちゃんの胸元で答えるとけんちゃんは私の肩を持ち体を離しキスをした。



「それはもう前の事だよ」


そのまま二人でベッドに入った。


けんちゃんは優しく私を抱いてくれた。


幸せだった。


苦しかったものが全て消えて
安心という温かいものに包まれて。


この時

手にした幸せは



簡単には消えないと思っていた。