「………」


泣いている事がばれないように深呼吸して布団の中で涙を拭いた。


「さえこちゃん?」


返事をするか迷ったけど


しない方がいい…―――


わかってる。
わかっているのに。



「……はい」



私は
返事をしてしまった。



「あ、ごめんね。起こしちゃって…今日新しいゲーム買ってきたんだけど一緒にしない?」


私が体を起こすとけんちゃんは私の隣に座って買ってきたゲームを見せてくる。


「見て見て、こんなのも見つけたからつい買ってしまってさ…」


子供のようにはしゃいでいるけんちゃんを見て


私はやっぱりこの人が好きだと思った。



「よし!あっちでしよう!」



けんちゃんの事が


大好きだと思った。



立ち上がって部屋を出ようとするけんちゃんに続いて立ち上がる事は出来なかった。