「いただきます」


貰ったおにぎりを頬張っていると
けんちゃんもおにぎりを食べながら話しかけてくる。



「さえこちゃんもし行く所がないならここに居ていいよ」


「え…」


「行く所、ないんじゃないの?」




その通り、私には行く場所などなかったけど
言えなかった。



これ以上迷惑をかけてはいけない。

その優しさに甘えてはいけないと思ったから。



「いや、大丈夫です」



でもけんちゃんにはわかってしまったらしい。

大丈夫ではないという事が。



「大丈夫だよ。俺仕事で毎日家にいないから家では寝るだけだし。お金もないんじゃない?」



「…でも」



言い訳しようとしたけどそれも思いつかない。



「あ、いい事思いついた!」



私が不思議がった顔で顔を向けると
けんちゃんはある提案をしてきた。



「契約しない?」