「どうする?警察行く?」


警察に行ける身ではない事くらい、きっとけんちゃんもわかっていた。


「家に戻りたくない…」


「そっか。でも…本当にいいの?」


「いいんです。私がこんな目にあっても…苦しいのは…私だけなんで。
それに…こういう事されたの初めてじゃないし…」


涙を手で拭く私に
けんちゃんはティッシュを差し出した。



「…そっか。なんて言ったらいいかわからないけど…とにかく今日はここに泊まって休んで」



「本当に…ごめんなさい」



「気にしなくていいから。とりあえず殴られたのはお腹だけ?大丈夫?他は?」



「…大丈夫です」


「あ、そういえば荷物は?」


けんちゃんは私が持って出たはずの大きなバッグがないことに気づき聞いてきた。