「おまえは…」


父が一瞬見せた唖然とした顔に
何の疑いも持たなかった。


「どうして泥棒のような真似をするんだ!!」


父は私を怒鳴りつける。

私が盗んだと

最初から決めつけて。


「その金は私が稼いだんだよ!盗ったりなんかしてない!!」


「稼いだってバイトしてるのか?」


「…そうだよ」


「どこで?」


「…学校の近くの駅」


「駅のどこでバイトしてるんだ?」



それ以上は言えない。


思いつかない。



「どうして嘘をつくんだ!お母さんに謝りなさい!」


謝るものかと思った。
濡れ衣なのだから。

悪い事をしているのかもしれないけど、私は泥棒なんかしていない。


父を睨みつけた。



すると父の右手が飛んで来て私の頬を思いっきりビンタした。



「私は盗ってない!!どこにそんな証拠があるんだよ!!なんで叩かれなきゃいけないんだよ!!私は盗ってない!!」





私が叫ぶように怒鳴ると父は私を殴り倒す。

母は止めもせず当然の事のようにその光景を見ていた。



そのお金を盗んだのは
父だったのに―――――――