手を放された事で咳をする私の前で
母はペンケースを開く。


中からは束になった一万円札や五千円札が出てきた。



すぐに頭を回転させて言い訳を考える。


でもそれは

必要なかった。


「あー!!」


母はまるで探していたものを見つけたかのような声を出した。


「あんただったのね!泥棒は!!」


母の言う言葉の意味が
理解できない。


「は?」


「あんたでしょ!私のお金盗ったの!!信じられない!!」


母の頭がおかしくなったと思った。


「私盗ってないんだけど!」


「じゃぁこのお金はどうしたっていうのよ!!?」