「カラオケに一緒に行っただけで?」


「うん。でもその後そのおじさんと番号交換してね。一週間しないうちに電話かかってきて、割り切りで会わない?って言われてそれで。」



「え、やったの?」


「うん」


「…なんで援交しようと思ったの?」



「理由なら沢山あるよ。貧乏は嫌だったし、好きなものも買いたかったし、それにご飯食べられない日もあったから。生きるためって言えば生きるためかも。でもそれはちょっと正当化しすぎかな」



紗枝は完全に割り切っている様だった。



「でも気持ちわかるよ」



同じ境遇にいた私は紗枝が援助交際に手を出してしまった気持ちがわかった。


あの日のように何日も食事をとる事を許されなかったら
私もきっと親に頭を下げる事よりも、
他人に自分を売る道を選んだと思うから。