ADULT CHILDREN

誰も帰ってくるはずのない午後2時だった。



玄関から鍵の開く音がして私は身を隠すためしゃがみ込んだ。



なんでこんなに早く…



近づく足音に耐え切れず
私は立ち上がった。



そこにいたのは



「さえちゃん!?」


祖母だった。



「…ばあちゃん」



「あらびっくりした。どうした?学校は?」



祖母の顔を見た途端涙が溢れた。



「どうしたの?」


祖母は優しく私を抱きしめてくれる。



「お腹…空いた…」



「何?お腹空いて泣いてるの?ほら食べなさい、何が食べたい?ばあちゃんが作ってあげようね。
あっケーキ買って来たのよ。
さえちゃんの好きなチョコレートケーキ。
ほら食べなさい」



祖母は持っていた沢山の荷物を床に置いてケーキの箱を開けるとチョコレートケーキを差し出した。



「今フォークあげるからね」



祖母がフォークを持ってくる前に
私はチョコレートケーキにかぶりついた。



「あらあら」



泣きながら食べたケーキが美味しくて
祖母がいてくれた事が嬉しくて

涙が止まらなかった。