外へ出た瞬間私は走り出した。


眠っていた男達が追いかけてこないかと不安から逃げるように。


まだ空は暗い。


ホテルを出ても自分がどこにいるかわからなかった。


周りは山。


あるのはホテルだけ。



車も通らない山道を歩くのはかなり怖いはずなのにそんな事は頭になかった。



外へ出られた事が嬉しかった。



半乾きの服を着ていたせいか肌寒くて腕をさする。



しばらく歩いて山を出た時には
明るくなりかけた空に薄い月が浮かんでいた。



山を下りる事はできたけど、下りた所で帰り道がわからない私はひたすら歩く。



案外すぐに知っている道へ出る事ができた後は
見慣れた家までの道を歩く。



家に着いたのは朝の7時。


父と母の車がある事でまだ二人が家にいる事がわかった。


あんなに帰りたいと思っていたのに、
いざ家の前まで来ると足が重くなった。