その日は後藤さんの家に行けなかった。


鏡で見なくても触れた感触でわかる顔の腫れ。
唾に混じる赤い血。
既に青く色を変えはじめている腕の痣。


こんな姿じゃ
どこにも行けない――――――――――――



警察の事で迷惑かけてしまったし―――


乱れた服も、顔の傷も気にせずとぼとぼと宛てもなく歩いた。


近所の人のいない公園に着き、ベンチに座り
膝を抱えて一人泣いた。