だから、付き合いたいなんて事は考えなかった。


それにはもうひとつ理由があった。

ある日後藤さんの家にいる時の事。


昼間、私と愛美が二人でカップラーメンを食べていると、他校の後藤さん狙いの同い年の真紀ちゃんがやって来た。


真紀ちゃんは見るからにヤンキーだった。
ふわっと浮いた前髪に高めに結んだポニーテール。

真っ赤なセットアップ姿で、それに負けない程の真っ赤な口紅。

まるでテレビドラマから出てきたかのようだった。



愛美とはまあまあ仲が良いらしく私は初対面で挨拶する。


「さえこです。」


真紀ちゃんはよろしくと笑顔で言った後、信じられない事を聞いてきた。



「で、さえこちゃんは何回やったの?」



突然の質問に主語がなく、理解できずにいると



「え?後藤さんとまだやってないの?あっ後藤さん狙いじゃないの?」



後藤さんとやってない?


まだ?


やっぱり意味がわからない。



私の頭の中はハテナだらけだった。