『…え?…あっ…はい。永澤閑、神奈川県横須賀市池上1420-4○○ビルの301号室です……』
キーボードを叩く手が止まっても女性はしばらく黙っていた。





『……しょ…少々お待ちください…』
女性は焦った声で電話を保留にした。




何かおかしなこと言っただろうか…



じっとしてられなくなりベランダに出た。



外の方が明るい。






隣の部屋からテレビの音が聞こえる…




お笑いでも観ているのかゲラゲラと笑う声が嫌なほど漏れていた…












………?



テレビ…?





手すりに身を乗り出して隣の部屋を覗き込む。




点いてる…!


下の部屋も…その隣も………!





目の前の景色は日常と何ら変わりない、明かりが灯された住宅で満ちていた。





……なんでアタシの部屋だけ…!?




そして………








背後に気配を感じた…………






………………ッ!





『good night…』

そう言うと黒い陰が襲いかかってきて一気に口元を布で抑えられた…



叫んでも声は漏れず、力はみるみるうちに抜けていった………