「……やめなさいよ!みっともない…!」
「…あん?!」
男は背の高い女に啖呵を切ると溜め息をつき、そっぽを向いた。




「……ねぇ…なんで私たちは集められたの…?」
女が言った。




すると南沢もその会話に加わった。

「……ねぇ、この中で顔見知りの方はいませんか…?」

誰もが首を横に振った。




「……一体誰がこんなことを…」
「…ねぇアンタ!名前なんて言うの?」
「…あぁ?!」
突然の会話に皆が注目する。
筋肉質の女が壁づたいに座ると先ほどの男に投げかけた。

「…なんでだよ!!」
「…別に。ただアンタが一番こういうことしでかしそうだから聞いてみただけよ…」
「……ふざけんな!…俺がやるはずないだろっ!!見た目で何でも決めんじゃねぇよ!!」
「…じゃあ話しなさいよ!名前と、どんな経緯でここにいるのかを…」

周囲の冷たい視線を感じ取り、仕方がなく男もドアの前で座り込んだ。



「…な…名前は…岡本 大地(おかもと だいち)…トラック運送会社で働いている…。…確か…同期と飲みに行って、酔ってフラフラになっていた帰り道に…」