もしも、世界が美しかったら




「……っ!離せ!」

押さえられている両手を振りほどき、倒れる小晴に駆け寄り上半身を抱き起こす。

「小晴!小晴…っ!!!」

これほど焦ったのも初めてだ。

真っ赤に染まる小晴の服を見て、全身から血の気が引いた。

「れ…い………」

「ばかやろ………っ!何で来たんだよ!!!」

「玲こ、そ…一人で…何してん、の……?」

紅鬼族は…玲のモノじゃない。

みんなのモノだ。居場所だ。

俺らの居場所は俺らで守ろ。

玲一人が背負う必要ないよ…。


「ッッ、」

そっと小晴の手が頬に触れる。

「こ、はる………?」

「ったく………こん、なに…ケガし、て………。」

うるせー、お前に言われたくねぇよ。さっきやられた傷だって癒えてねぇくせによ。

そう言ってやりたい心とは裏腹に言葉が出ない。

情けなく手が震える。

そのまま指を滑らせ、小晴の手は今度は耳に触れた。

「ピアス…汚れちった…な。」

「悪ぃ………。」

「………おれ……玲はあお、いろが…似合う、ん、だと…思うん、だよね……。でも………」

かすれる声で途切れ途切れに話す小晴の声が小さくなっていき、口元に耳を近づける。