もしも、世界が美しかったら




「……………ゆき、ちゃん?」

―――ずっと見守っているから、………泣かないで。

夏琅が言ってた由輝ちゃんの最後の言葉を思い出す。

あぁ、由輝ちゃんだ。

私が一人で泣かないように…。

私が一人で寂しくないように…。

キラは……由輝ちゃんから私への贈り物なんだ。

思わず勢いよく立ち上がる。

キラはピョンっと飛び退いた。

「キラ……私、行ってくる!」

「ニャア」

私はキラの頭を軽く撫でてから、家を飛び出した。



「はっ…はぁ……ッッ」

肩で息をしながら走ってきたのは町が見える丘の上にある墓地。

「由輝ちゃん……来たよ。」

来るのが遅くなってゴメンね?、息を整えそっとお墓に触れる。

ここに…由輝ちゃんは眠ってる。

由輝ちゃんと会うのはあの日のお葬式以来になる。

「由輝ちゃん…ゴメンね?心配かけてゴメン………」

泣かないでなんて言うけどさ……由輝ちゃんと会えないのに泣かないなんて絶対にムリだよ。

お墓の前にしゃがみこんで手を合わせ、心の中で話かける。

でも…私、由輝ちゃんがいなくてもガンバるからね。

キラがいるから寂しくないもん。