「うわ…。せっかく友達が助かると思ったのにね…」
これは、誰の話……??
「え、2人とも知らないの?」
ドクンッ、と心臓が波打った。
背中に嫌な汗が伝う。
ダメだ。聞いちゃダメだ。
本能がそう告げている。
「愛輝…行こう?」
俺は愛輝の手を掴むが、愛輝は一歩もこの場から動こうとしない。
「愛輝…っ」
「利玖………」
掴んだ手を握り返された。
愛輝の手は少し汗をかいていて、小さく震えていた。
……愛輝は由輝の死を受け入れ、俺たちの知らない“何か”も受け入れようとしているんだ。
……だから俺も受け入れよう。
「実はね…あの病気の男の子が
移植した心臓って、交通事故に
あった男の子のやつらしいよ?」
例え、それがどんなに残酷な
真実だったとしても………。