もしも、世界が美しかったら




――1時間近く経った。

泣き続けていた愛輝は、いつの間にか俺の腕の中でスヤスヤと眠っている。

俺は愛輝を抱き上げ、静かにベットへ寝かせた。

今、気付いたけど愛輝の手足顔に複数の切傷があった。

きっと、ガラスや鏡の破片で切れたのだろう。

愛輝の机の上に置いてあるカエルのキャラクターが書かれた缶の中から絆創膏を取り出した。

とりあえず目につく傷に貼る。

俺も手足や顔がピリッと痛むが、自分のことは後だ。


「さて…」

荒らされた部屋を見渡す。

泥棒が入ったんじゃないかってくらいぐちゃぐちゃだ。

とりあえず、これ以上ケガをしない様にガラスの破片を集めた。

「……っ、」

指先に鋭い痛みが走る。

切った指から滴る紅い雫。

思ったより傷が深かったらしく、ボロボロと血が流れていく。

「痛ってぇ……」

痛い…痛い…痛い……。


変わり果てた由輝の姿が、

泣き叫ぶ愛輝が脳裏に浮かぶ。

なんで……なんで、死んじまったんだよ…。

――――…由輝



部屋を一通り片付け、ベットに座りそっと愛輝の頬に触れた。

「ゆ……き…ちゃ…」

幸せそうな顔をして眠っている。