もしも、世界が美しかったら




愛輝は回りにあったマンガやクッションを投げてきた。

「ちょっ…愛輝!!」

「やだぁあああ!由輝ちゃん!!由輝ちゃんどこぉーー!!?」

叫びながら暴れだす愛輝。

散らばる花びんのカケラ。

割れる鏡に、倒れたテーブル。

部屋の中はぐちゃぐちゃだ。

「ヤァァアアア!!由輝ちゃん!由輝ちゃぁああーーーん!!」

「愛輝っ!!!」

俺は愛輝を抱きしめた。

「いやぁああぁあああ!!!!」

腕の中で暴れる愛輝。

振り回される腕が、容赦なく顔や胸を殴った。

…でも、絶対に離さなかった。

「利玖っ…由輝ちゃんが…っ!!由輝ちゃんがぁああ―――っっ」

ギュウッッと俺に抱きつく愛輝。

「……大丈夫…大丈夫だから…」

何度も大丈夫と言いながら頭を撫でて、震える愛輝の体を強く強く抱きしめた。


「利玖…っ…りくー…ッッ………由輝ちゃ…っ…死んじゃ…ッ……な…で…?…なんでよー…っ?」

「愛輝……」

顔を上げた愛輝の大きな目からは大粒の涙が溢れる。

俺はそれを親指で拭ってやる。

「あのな、愛輝…。確かに由輝は死んじゃたけど……愛輝の中の由輝まで殺すなよ…。」