もしも、世界が美しかったら




「いらっしゃい」

俺は目を見張った。

明美ちゃんは、たった1日会ってなかっただけなのに…見間違えるくらいにやつれていた。

………大切な一人息子を、大切な家族を亡くしたんだもんな。

「これ……お袋から」

家を出る時に半ばムリヤリ持たされた袋を渡す。

お袋と明美ちゃんは高校からの付き合いで、お袋も2人の事を心配してるんだろう。

中身はたぶん、愛輝が大好きな
ハンバーグとマカロニサラダ。

数時間前に涙を堪えながら作っていたのを見かけたから。

「…………私、ちょっとお礼言ってくるね。」

弱々しく笑う明美ちゃんに「わかった」とだけ言って、俺は2階に上がった。


【ゆきといつきの部屋】と書かれたプレートが掛かっているドアの前で立ち止まる。

「愛輝……入るぞ?」

軽くノックして恐る恐る部屋のドアを開けた。

「あ、利玖。いらっしゃーい」

ベットに寝転びながら、マンガを読む愛輝。

いつも通りの愛輝。

いつもと何も変わらない笑顔。

「い…つき……」

「ん?どしたの?」

「お前っ…大丈夫か?」

「なにが?」

不思議そうに首を傾げる。

俺は言葉を失った。