もしも、世界が美しかったら




俺の声に反応することなく、愛輝は今来た道に駆けていった。

「愛輝!?」

「俺、追いかけてくる!」

花梨たちにそれだけ言って、俺は愛輝の後を追い掛けた。




「愛輝!愛輝っ」

何度呼んでも愛輝は止まらない。

振り向きすらしなかった。

「お母さん!!」

そう叫んで愛輝はどっかの部屋に飛び込んだ。

明美ちゃん………??

続いて俺も部屋に入る。


「愛輝…?」

何か立ちすくむ愛輝を不審に思いながら俺も隣に立った。

そして…言葉を失う。

ドクドクと心臓の動きが速い。

息がつまって苦しい。

頭が真っ白になる。


なんで、なんで、なんで、なんで

なんでなんでなんでなんでなんで

なんで なんで なんで な んで

なん で な ん で な ん で…?


そこには――――…


「ゆ……き………?」


変わり果てた由輝がいた。



顔は蒼白で唇は紫―…

いつもと全然違うけど……
生まれてからずっと一緒だった。

ホントの家族みたいに、いつも、いつでも近くにいたんだ。

見間違えるはずがない。


――――間違いなく由輝だ。