「みんな、あんなファンの子ばっかだったら、ビトもお前も楽なのにな・・・」

受付を済ませたあと、俺はモモにそう言った。


「そうだね・・・みんなちゃんとああやって理解してくれればいいんだけどね・・・」

新規のファンとかは、そうはいかないもんね・・・なんて、ちょっと溜息をつきながらモモは呟いた。






俺たちの席は、ランウェイから右側の、3列目ぐらいの隅。

カメラマンや関係者の多い中で、高校生の俺たちは明らかに浮いていたけど、そんなに目立つ席じゃなかったしこれから出てくるモデルもちゃんと見れそうな絶妙な場所だったので、そんなに気にしなかった。

ちゃんとそこまで気を使って、ビトは席を用意したんだろうなってわかる。
まあ、ビトが選べたのかはさだけではないけど・・・




しばらくして照明が暗転すると、歓声の中ショーは始まった。


ノリのいいロックな洋楽が流れる中、次々と秋冬の新作のジャケットなんかを着た外人モデルが歩いてくる。

前半の方で、細身のレザーを着たビトも登場して、きりっと引き締まったモデルの表情をし颯爽と歩いていく。



凄い、こいつ・・・
ぜんぜんアイドルとか、そういうちゃらちゃらした風には見えねー



アイドル辞めて、こういったモデルになればいいのにって思う。
パリコレとかに出ても、普通にやっていけるんじゃねーの?


カメラマンのシャッターやフラッシュの量も、服の話題性もあってか、ビトの時にはより多くたけていたような気がした。



モモが、なんだかうっとりしたような表情でずっと見ている。

でも、なんだか少し淋しそうなのは何でだろう?